晩夏

揺れる船に響く誓いを

"彼等はきっと、同じ世界を与えられたんだよ" -『ってあなた』に沈んでゆく

さて、皆さんは『アイドルグループに所属する二人がユニット曲を作成し、そのミュージックビデオを撮りました!』と言われたら、一体どのようなMVを想像しますか?二人並んでめちゃくちゃカッコよく踊ってる図?それとも二人でギターを鳴らしたりドライブしたりしながら歌っている図?それとも…………

 

 

 

 

 

 

 

 

2021年1月6日、SixTONESが初のフルアルバム「1ST」を発売しました。SixTONESの名前の由来ともなった「原石」「音色」の名を冠した初回盤2仕様と、通常盤の全3形態でのリリース。

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今回、その中の「音色盤」にはメンバー2名ずつのユニット曲が3曲収録されています。いずれもミュージックビデオが制作されDVDに完全収録。私はこの音色盤を購入したり、1月5日からアルバムを引っ提げて始まったライブツアー「oneST」の配信を観たりしました。どの曲も本当に良いものばかりだったのですが、兎にも角にも京本大我×松村北斗によって制作されたユニット曲『ってあなた』が!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!「この4分53秒を絶対に掘り下げたい!」の気持ちが膨れ上がってどうしようもなかったので、急いでこのページを開きました。不仲と称される二人のユニット曲、正直言ってそんなの嫌いなオタクがいるわけないんですよね、、、、

 

https://youtu.be/NIi_acq1QmQ

↑知らないという方がいらっしゃいましたらこの公式YouTube動画の8:48〜で少しだけ流れているので是非見てみてください〜!

 

公式ホームページには

13.ってあなた(Taiga Kyomoto×Hokuto Matsumura)

SixTONESの屋台骨である「高音の京本×低音の松村」の競演で聞かせる "弱い男" を歌ったR&B系バラード

という説明があります。弱い男………

 

ということで自分なりに『ってあなた』を深く掘り下げていこうと思います。ここから先は超超超個人的な解釈が入った文章になりますので、ご了承ください。

 

 

 

 

 

 

 

①『ってあなた』の歌詞について

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「ってあなた 考察」と検索してみると、"これは松村北斗京本大我と女の子による三角関係だ" と捉えている意見を多く見かけるのですが、私的には男の心情を歌うにしては松村北斗の歌い方は柔らかくて皮肉っぽい部分があるな、と感じていました。特に最初の「🎶火をつけたら〜」と一番最後の「🎶火をつけたら〜」を聞き比べると、分かりやすく違いが表れているのではないかなあと思います。そこで一つの仮説をたてました。「松村北斗のパートには女性と男性、二人の人物が存在している」そして「この楽曲は異性愛と同性愛が混在している」のではないか、と。

 

 

それを踏まえて考えると、『ってあなた』という "物語" に登場する人物は3人になります。

 

①Aちゃん(松村パート)→Cと付き合っており、Bくんとは知り合い。

②Bくん(京本パート)→AともCとも友人関係にあるが、AちゃんとCくんが付き合っていることを知った上でAちゃんのことが好き。

③Cくん(松村パート)→Aちゃんと付き合っており、Bくんとは知り合い。

 

松村北斗のパートが二役を担っているので少しややこしいですね、、、

 

 

 

まずは最初の歌詞

あなた 火をつけたなら消してって

遊んだら 元ある場所へと仕舞って

これは、この世界観への導入、序言、コンセプト性の提示にあたる部分です。ここからこの "物語" が始まっていきます。

 

 

 

さて、想いを寄せるAちゃんが知り合いであるCくんと付き合っている、という状況のBくん。彼はAちゃんを手に入れるためにCくんの気を自分に向けさせる、という作戦を実行します。要するにBくんとCくんが浮気関係になることで、CくんがAちゃんに別れを切り出すことを期待したのです。

 

そしてBくんの作戦は見事成功し、思惑通りにBくんとCくんは浮気関係となります。Bくんに夢中になり始めたCくんは、だんだんAちゃんに連絡を取る頻度が減っていってしまう。

 

 

ここで1番の歌詞

居なくていいんじゃない?

触らないで愛で満ちたような

フリしたその手で

ずるいわ、あぁ     

→AちゃんのCくんに対する自虐的な発言。「最近構ってくれないし連絡も減ったよね、もしかしてもう私のこと好きじゃないんじゃない?愛があるフリして触らないでよ」それでもやっぱりCくんのことが好きなAちゃんは、結局触られることを許してしまいます。私が拒まないことも想定内なんでしょう?ずるいわ、あぁ、というわけです。

 

 

怖くて眠れない

痩せ細った僕の感情を

飼い慣らしてどうすんだい?

もうやめてくれよ

→Aちゃんを手に入れるためにCくんに近づくBくん。見事作戦は成功して、浮気関係が始まってしまいます。しかし、ここでBくんの中に二つの不安が渦巻き始める。一つ目は「ここまでしてAとCを別れさせても、Aちゃんが自分を好きになってくれるとは限らない」ということ。二つ目は「Bくんは、Cくんを騙しているつもりが、関係を続けるうちにだんだんと自分がCくんの虜になってきていることに気がついてしまった」ということ。自分が狩る側だと思っていたのにいつの間にか狩られる側となってしまった______

Bくんは色んな葛藤を抱えて夜も眠れなくなってしまいます。

 

 

今すぐに千切ってやりたいって

いうわけじゃない

でもあんまりだろ笑えない

冗談でも笑えない

→AちゃんがCくんとBくんの浮気関係に気づいてしまう、という展開。Cくんのスマホを覗いた時に決定的な証拠でも見てしまったのかなあ、なんて。しかも相手はAちゃんと知り合いのBくん(この歌詞の下二段の雰囲気的に2人は知り合い同士なのでは?と考えました。)「Bと浮気してんのかよ!?」とCくんに怒るAちゃん。

 

 

消えそうな 愛の行方はどこだか

あぁまだ わからなくても良くなくもない

ってあなた 火をつけたなら消してって

遊んだら 元ある場所へと仕舞って

ぐちゃぐちゃになってしまった3人の関係性。

それでもまだ、この愛の行方はどこにいくのか、分からない。

 

このサビの歌詞はそのままの意味だと思います。

主旋律が京本大我松村北斗が下ハモなので、このサビはBくんの主張が強く反映されているのではないかなあと思います。実際、先に「火をつけられ」て不安を抱くようになったのはBくんですから、、、、

 

 

 

 

そして二番。

触っていいのかい?

膨れ上がった憂いと 蔓延るヘイトも

そう悪くはない 期待しないで済むだろう?

君ではない未来 次第に見えて

→CくんとBくんの関係を知ったAちゃんは、Cくんを取り戻すためにBくんに近づきます。Bくんを誑かすことでCくんと別れるように仕向けようとしたのです。

Bくんは「まだAがCに気持ちが残っているのに自分に近づいてきた」ことも「Aが "BとCには関係がある" ことを知っている」ことも知っています。(=膨れ上がった憂い、蔓延るヘイト)それでもやっぱりAのことが好きだから、Aちゃんの誘いを受け入れてしまいます。Bくんは、Aちゃんの抱える心情を全部分かった上で、(君はまだCのことが好きなのに、そんな君を僕が)「触っていいのかい?」というわけです。次第にBくんの脳内には「君(Cくん)ではない未来」が、見えてくるようになる。

 

一方、無事(?)にBくんと関係を持つことに成功したAちゃん。しかし、AちゃんはBくんを騙すつもりが、関係を続けるうちにだんだんと自分がBくんに惹かれ始めていることに気がついてしまいます。(皮肉なことに、AちゃんとBくん、恋愛に対しての考え方や想い人を手に入れようとする方法、展開まで全部似ているですよ……)

Cくんが好き。でも、Bくんにも惹かれてしまう。

一体、この恋路は何処に行き着くのか。

 

 

そして、次の歌詞。

返してよMy life 

リプライやメンション・通知も来ないこの物語

ヨリ戻りはしないのにWhy?

踊り狂い 悶えたらいいの?

→Aちゃんの、Cくんに対するものです。

Bくんと浮気関係となったCくんは、次第にBくんへの愛情が大きくなってAちゃんへの連絡が減っていってしまいます。そして、それに対して嘆き悲しむAちゃんの気持ち。いっそすべて捨てて踊り狂ったらいいの?でもやっぱり、そんなこと出来ない、何処にも進めずに絡み合った感情は、どうすればいいのか。

 

 

"ここまでは良かった"

なんていうつもりはない

最初から最後まで、ほら

筋書き通りなんだろう?

→Aちゃんと関係を持つことに成功したBくんは、Cくんに別れを告げます。「Cくんと関係を持つところまでは良かったんだ」なんていうつもりは無いわけで。どうせ自分がCくんと別れるところまで全部、Aの筋書き通りなんだろう?と。

 

確かに、自分と関係を持ったBくんがCくんと別れることは、Aちゃんの「筋書き通り」。しかし、AちゃんはBくんに惹かれ始めてしまった、これは想定外なわけです。でも、Cくんのことだってまだ好き。だからBくんの「筋書き通りなんだろう?」「お前は結局、お前が想いを寄せるCと、浮気相手のおれ、どっちを選ぶんだよ?」の問いかけには即答することができません。

Aちゃんからしてみれば、もう距離を置かれてしまった彼氏のCくんと、そんなCくんと付き合っているのに何故か自分の誘いに乗ってきて結局Cくんより自分を選んだBくん。どっちを選べばいいのか、答えのない問題を前にしてAちゃんは俯いてしまいます。

 

 

見えそうな 時の行方はどこだか

あぁまだ わからなくても良くなくもない 

ってあなた どこに行くのか教えて

虚ろなまま 暗夜へと消えてしまって…

3人の関係は、いったい何処に終着するのか。

このサビは松村北斗が主旋律、京本大我が上ハモですのでAちゃんの主張が強く反映されているのではないかなあと思います。

 

 

ぽつりと零した 寂しさで壊れそう

脆いのは誰の所為?

この三角関係が、気持ちが、ぜんぶが、こんなにも脆くなってしまったのはいったい誰の所為?

 

 

消えそうな 声が届けば最後に

さよなら 言い捨ててやりたいのに

_____Aちゃんにさえ出会わなければ、こんな生活にはならなかったのに、出来ることならこの苦しい日々から抜け出したいのに、別れを告げたいのに、

_____CくんのためにBくんに近づいたのに結局好きになっちゃって、どうしてこうなってしまったの?どちらか一方をを選べれば楽なのに、どうしても選べない。どちらか片方に別れを告げられればいいのに、

 

二つの感情が一つの歌詞に重なって。

 

 

消えそうな 愛の行方はどこだか

あぁまだ わからなくても良くなくもない

結局愛の行方は分からなくて、

何処に進めばいいのか、どうすればいいのか、

分からないまま時間だけが流れてゆく。

 

ってあなた 火をつけたなら消してって

遊んだなら 元ある場所へと仕舞って

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

これで「ってあなた」の歌詞考察は終わりです。

 

どうしようもない感情や関係性がぐちゃぐちゃに絡み合って、先が見えない。AメロBメロで物語が二転三転するのに未来が見えず、結局サビで地団駄を踏むばかり。一向に結末の見えない終わりのない世界。『ってあなた』は、そのような物語を描きたかったのかなあ、と思います。

 

違う解釈や物語を想像した人も沢山いると思います。解釈というものは聞く手の数分あるもので、それはその人その人の自由なわけで。私は私で「曲考察は深読みしてナンボ!!!」と思っているので、この考察が納得出来ない人がいて当然だと思いますし、その上で「こんな風に考える人もいるんだ〜」と捉えていただければいいなあと。

 

 

 

さて、まだ終わってないですよ!次はMVです。

 

 

 

②『ってあなた』のMVについて

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まずMVの立ち位置なのですが、「歌詞の延長線にMVがある」という仮説をたてました。つまりMVの世界は歌詞によって作られた物語の "続き" として存在している、ということです。

 

では次に、画面が二分割された構図をどう解釈するのか。色んな説があると思いますが、今回は「パラレルワールド」であると考えました。京本大我松村北斗、二人は同じ世界に生きる別人ではなく、同じ "物語" の世界を与えられた同一人物ということになります。そして①で述べてきた歌詞解釈と繋ぎ合わせると、この同一人物=Bくん と捉えられます。つまり、このMVは「歌詞の世界線に出てきた "Bくん" という同設定の役を、京本大我松村北斗がそれぞれ演じている」のです。同設定といっても二人は同じ世界にいるのではなく、パラレルワールドの同じ "Bくん“ として存在しているので、二人が進むストーリーには少しずつ差が生まれていくのですが、、、

 

 

 

1.別れの始まり

場所はホテル。きっと事後なのでしょう。Aちゃんに「話がある」と言われて上裸のまま呆然としてしまうBくん。

 

松村北斗の "Bくん" →何を言われるのか予想がつかず、話をするAちゃんの瞳を真っ直ぐ見つめている。告げられた後、縋るようにAちゃんを目で追う。

京本大我の "Bくん" →Aちゃんに何を告げられるのかを勘づき、言わせないためにAちゃんの顔を見るのを意図的に避ける。それでも結局告げられてしまって、引きとめて縋るようにAちゃんの腕を掴む。

 

きっとAちゃんの話というのは、もうこの関係を全部終わらせよう、別れよう、といった内容だと思います。きっとAちゃんは「車まわすからゆっくり準備してから出てきてね」とでも声をかけて部屋を出て行ってしまったのでしょう。残されたBくんは呆然としたままベットに沈み込んでしまう。

 

 

 

2.別れの道程

Aちゃんの運転する車の助手席に乗り込むBくん。

 

松村北斗の " Bくん" は絶望した顔をしていて、京本大我の "Bくん" は泣いている

・Aが途中で何かを喋っている

→「ここで降りて」的なセリフだと考える

→AちゃんはBくんを降ろした後、Cくんを迎えに行こうとしている…?

 

 

3.別れの終末

Aちゃんの車を降りたBくんは、少しだけ開いた車の窓から彼女へと言葉をかける。きっと、ホテルで別れを告げられてから車中でずっとその意味を考え続け、やっとやっと出てきた一言、なんだとおもいます。

 

松村北斗の "Bくん" →「誰の所為だって」

これは「誰のせいって(お前のせいだよ)」という皮肉混じりの問いかけ。AちゃんがBくんのせいにしているのに対して、誰のせいだと思ってるんだよ、という感情をぶつけている

京本大我の "Bくん" →「さよならって」

どうして?なんで?さよならって、本当に?と慌てている気持ち

 

 

4.別れの真実

ポケットに入れられたAからの手紙を見るBくん。

 

松村北斗の "Bくん" →その場でメモを抱きしめながら泣き崩れてしまう。絶望と諦めが含まれた行動。

京本大我の ”Bくん" →メモの内容を理解した途端、Aちゃんの乗った車を追いかけて走り出す。

 

 

最後にして、1番異なる行動を取る二人。

ここで一つの疑問が生まれます。いったい手紙には何が書かれていたのか。松村北斗京本大我の表現に、1番の差を生んだのはどんな言葉なのか。

 

仮説①『本当は まだ好きだったよ』

→最初に思いついたのはこの文章でした。自分から別れを告げたAちゃんだけど、本当はまだBくんのことが好き。もしあの手紙に書かれていたのがこの言葉であるとするなら、松村北斗の "Bくん" は「最後までAちゃんの気持ちを見破れず、最悪の結果を止められなかったこと」に泣き叫び、京本大我の "Bくん" は「やっと見えかけたAちゃんの本心を掴むために再びAちゃんを追いかける」ということになります。

 

仮説②『ごめん』

→もしあの手紙に書かれていたのが、たった一言『ごめん』だったとしたら。松村北斗の "Bくん" は彼女の謝罪に対して絶望と諦めを抱きます。もう、何もかも遅いんだ、たった今二人の関係には終止符が打たれてしまったんだ、と。一方京本大我の "Bくん" は彼女の謝罪に対して僅かな希望を抱きます。彼女はきっと、まだ自分に対して少なからず気持ちが残っている。だからこそ他のどれでもない「ごめん」という言葉を選んだのだ、と。

 

 

二つを並べた時、個人的には仮説②の方がしっくりきました。主な理由として「まだ好きだったよ」という直接的な表現、明確に自分への好意が伝わる文章であると、松村北斗の "Bくん" は諦めることをせずに車を追いかける可能性が捨てきれないなあと思ったからです。また京本大我の "Bくん" は逆に、明確な文面を受け取ってしまったら「しっかりと好意を伝えてきた上で別れを選択された」ことに対して諦めの感情を抱く可能性があるのでは?とも思います。仮説②の「ごめん」という曖昧な言葉であるからこそ、このようなラストシーンになった。同じ言葉を受け止めて「俺じゃダメだったのか」と改めて認識し、諦めることを選択した松村北斗と、「なんでだよ」と追いかけることを選択した京本大我の焦燥感の違い。二人の "Bくん" に対する表現の対比が一番綺麗に映るのは「ごめん」なのではないか、、、、、

 

 

最後に、違う行動を取る二人の上にそれぞれ「京本大我」と「松村北斗」の文字が浮かびあがる。やっぱり、これは、違う世界の同じ人間を与えられたパラレルワールドなのです。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

これでMV考察は終わりです。

これは個人的な印象ですが、全体的に京本大我は行動で、松村北斗は表情で、表現しているように見えました。楽曲では「高音の京本大我×低音の松村北斗」の対比を、MVでは「舞台俳優としての京本大我×映像俳優としての松村北斗」の対比を魅せたかったのではないかなあと思います。

 

「ってあなた」のMV監督や企画・脚本を担当された三石直和さんはTwitter

この2人だからこそぶつけた企画

ご理解いただけた関係各位に感謝です

2人の演技、駆け引きに痺れました

とツイートしています。

この二人だからこそ生まれたユニット曲の形、これがきょもほく…………………………

 

ちなみに、このMVを考察する上でコンセプト性が似ているPVを思い出したので貼っておきますね!是非見てみてください。

https://youtu.be/HKThn7Phxkk

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

最後にライブ演出の話をしたいと思います!

 

③『ってあなた』のライブ演出について

ライブでこの楽曲をを披露するにあたって、松村北斗は公式パンフレットにて「ライブでの演出は…多分、歌う以外できないでしょう。本っ当に難しいんです、この曲!(笑) ハモリのラインもめっちゃ難しいし、当日は歌に集中するしかないなと思っていますね。」と発言しています。

その言葉の通り、ライブでは二人とも特別演技をしたりすることもなく、椅子に座って歌うという形をとっていました。ただし画面はMVと同じように二分割されていましたが。

 

画面が二分割された演出は曲の終盤まで続き、それまで背中合わせの構図で歌っていた二人は最後のサビの「🎶消えそうな〜」から向かい合わせになります。考察したいのはここからなのですが、一番最後の「🎶元ある場所へと仕舞って〜」を歌い終わった後、分割された二画面がだんだんと中央にずれていき、二人の姿が重なって合わさります。そのまま重なって消えると、私たちが見ている分割された二画面が反転して、二人の画面が重なる前と逆になります。つまり、私たちが見ている画面上では背中合わせになっているけれど、実際の舞台上の二人は向かい合わせになっている、というわけです。

そして二人は椅子から立ち上がり、そのまま歩き出します。歩いている途中で二分割の画面が終わって一画面になり、歩き続けた二人がステージの真ん中ですれ違って、両端まで歩いて照明が消される。これで「ってあなた」のパフォーマンスが終了となります。

 

ややこしいので少しまとめると、

 

・私たちが見ている画面

「🎶消えそうな〜」から向かい合わせで歌う

→「🎶元ある場所へと仕舞って〜」の歌い終わりから映像がずれていき、二人の姿が重なって、そのまま松村北斗の画面と京本大我の画面が左右反転する

→二人は背中合わせの構図になる→二人は椅子から立ち上がって歩き出す(遠ざかっていく)

→途中で反転した二分割の画面から普通の一画面に切り替わり、両端から歩いてきた二人が近づいていく。そのまますれ違って、また離れてゆく

 

・実際のステージ上

「🎶消えそうな〜」から向かい合わせで歌う

→「🎶元ある場所へと仕舞って〜」を歌い終わって、そのまま二人は椅子に座っている

→二人は向かい合ったまま

→二人は椅子から立ち上がって歩き出す(近づいていく) そのまますれ違って、また離れてゆく

 

という感じです。非常に言語化に向いてない演出ですね!!!

 

 

そして、この演出から二つの考察ポイントを拾い上げました。

 

1️⃣この最後の「二画面が合わさる」というカメラワークは一体何を表しているのか。MVでは最後まで二分割されたままでしたので、この演出部分は特別意味のあるものだと考えました。

MVの考察と繋ぎ合わせるならば、きっとこれは「この二人が同一人物(Bくん)であることの答え合わせ」なのでは?という考えに辿り着きました。要するにMVの伏線回収といった感じなのだと思います。そして同時に、答え合わせをしたということは、ここで「ってあなた」という "物語" は終わりを迎えたということになります。

 

 

2️⃣「画面が反転して二人が立ち上がる部分での松村北斗の行動」に引っ掛かりを感じた、という方は私以外にもいらっしゃるのではないでしょうか。

1月5日夜公演、「ってあなた」の終盤で(画面上は)背中合わせに座るきょもほく。二人は同時に立ち上がるのですが、この時松村北斗が一瞬だけ後ろを振り返り京本大我の方を見たのです!!!!!!!!(ちなみに京本大我は真っ直ぐ歩く方向を向いている)

この行動は一体どういう意図なのか、演出であるのか、いや演出であるならば京本大我も同じように後ろを振り返るべきだし、、、では松村北斗が個人的に取った行動なのか、だとするならばそれは何故?どういう意図で?

 

気になって仕方がなかったので、全五公演分のラストの松村北斗の行動をまとめてみました。

・1、2、5公演目→後ろを振り返っている or 後ろを気にするような素振りが見られる

・3、4公演目→後ろを振り向かず、気になる素振りも無し

 

松村北斗が後ろを振り向いたり振り向かなかったりする理由は一体なんなのか。ひとつの仮説として二人の「パラレルワールド」に対する解釈の違いの表れなのではないかと考えました。

→考察ポイント1️⃣で書いたように、二人の画面が合わさるという演出は「二人が同一人物であることの答え合わせ」です。となると、このステージ上は「パラレルワールド接触」ということになります。本来別世界に存在し出会ってはならない二人が、何かの歪みで同じ空間に存在し、すれ違ってしまった_____よく見かける設定です。

 

パラレルワールドとして同一人物である二人は、一瞬だけ同じ地点を通過して交差し、また別の道を歩んでいく。問題はその "すれ違う瞬間" に、お互いがお互いを「本来気付いてはいけない相手」として認識してしまうのか、それとも気がつかないのか、という点です。

きっと京本大我松村北斗も、「アイツはパラレルワールドの自分である」ことを認識している、という解釈の上でステージ上にいるのだと思います。しかし松村北斗はその表現として「気付いてはいけないアイツに一瞬だけ反応してしまった」という演技を、京本大我は「気付いてはいけないアイツを認識はしたが、反応してはいけないことを悟って無反応を貫いた」という演技をした。だから松村北斗だけが後ろ(京本大我の方)を振り向いてしまった、のだと考えました。

では何故松村北斗は日によって京本大我の方を向いたら向かなかったりするのか、それは松村北斗が公演ごとに演技の調整をしていた、と言えるのではないでしょうか。オーラスでは向いていましたから、反応してしまう自分、を最終的に選んだのだと思います。

 

つまり!最後の最後で、二人の「パラレルワールド」への解釈の違いがこんなところにあらわれてしまった、ということなのではないでしょうか?深読みしすぎかもしれませんが、、、きょもほく、、、、

 

 

 

 

 

 

 

 

ということで、①歌詞 ②MV ③ライブ演出 と三つに分けた『ってあなた』考察はここまでとさせていただきます。いかがだったでしょうか?納得していただける部分や、「こんな解釈があったんだ…!」なんて思っていただけていたら嬉しいです。ここまで読んでくださった皆さま、有難うございました!

 

ちなみに余談ですが、この考察ブログを書いている途中でなんとビックリ公式から「ユニット曲鑑賞会!」などというとんでもないYouTube動画が更新されました。えっいやまって、公式から説明が出るかもしれないの…?待って………の気持ちでいっぱいですよ!なんとかこのブログの完成が「ってあなた」の鑑賞会動画の更新には間に合って良かったです、本当に。EXTRA VIPの鑑賞会動画にて松村北斗が「俺も京本とこういうのやれば良かった〜」って言ってるのを聞いた時には「ハァ???おま…この二日間ってあなたのことしか考えられなかった私の時間を返せや………」となりましたがね!!!!!!お疲れ様でした!!!

 

 

 

 

Special Thanks : ふみたゃ